それは、理由があってないようなキッカケで。
「何が原因?」って聞かれても説明に困るような。
ほんの数分前は、だって、とてもなかよしだったのに。
テーブルの上のごはん茶碗を床に払い落とした。
たぶん。
それは大切な大切なお茶碗だったのだろうと思う。
100均で買った、その横のオレンジのお皿を、
彼は床にたたきつけた。
部屋中に破片がとびちったけど。
なんだか気持ちだけが水の底みたいに冷えてた。
そのままビールを飲んでいたら。
カバンを持って、出て行く音がした。
わたしは動かずそこにいて。
だけど、手は少し震えていて。
部屋を片付ける気にもなれず。
なんだかひどく疲れて。
そのまま、座ってた。
どうしてこんなに無気力なんだろう。
どうせ帰ってくると、思ってる訳じゃない。
そのうちにまた仲直りできる、と思ってる訳じゃない。
お風呂をわかして、あったまってみる。
ようやく、破片をかき集める。
まっぷたつに割れた、彼の大切なお茶碗も。
こなごなになった100均のお茶碗も。
こんな風にまっぷたつになった
彼とわたしも。
なんだか無言で、無機質だった。
あーあ、鍵、おいていっちゃったよ。
ぜったいに帰ってこないだろう、今夜は。
そう、わかっているのに。
鍵をあけたままにしておく。
3時。
それまでに5回くらいは、外にでてみた。
いないことがわかっているのに。
どうせ圏外だろうと思って電話をしたら。
やっぱり圏外だった。
何について考えればいいかもわからない。
とりあえず寝よう。
ぬいぐるみを抱きながらベッドに入った。
今日はひとりなのに、
壁際にぴったり寄って、
彼のスペースをあけてる自分がおかしかった。
いつの間にか、朝がきて。
仕事の時間だから、電話の電源いれてるけど、
出るわけないよなー、
って、かけてみたら。
やっぱり何度コールしても出なかった。
「おはよ。鍵をポストにいれておくね。」
まるで、今の電話はその用件だよ、と言わんばかりに
メールしてみる。
もちろん、返事はないけど。
気になってるけど、涙も出ない。
今夜は帰ってくるのかな。
Tシャツとか下着とか、どうしてるかな。
歯みがきどうしてるかな。
そんなどうでもいいことばかりがき気になる。
昨日、話したばっかりだった。
「ボクが夜中に床で寝ちゃうのは、
君がベッドのまんなかに寝るから、追い出されちゃうんだ。」
そう言った彼に、
「じゃ、明日からは壁にぴーったりくっついてねるもんっ。」
だから。
壁にぴったりくっついて寝たよ。
かんじんな人がいないのにね。